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戦術防空システム

概要


美國の戦術防空システムの目的は敵航空攻撃の効力を削ぐことである。これは、敵航空機に有効または射程外でその装備を浪費させたり、防空兵器の有効射程内に入った敵航空機を破壊することによって実現される。美國および同盟国軍の戦術防空には2つのコンセプトがある。1つ目は、防空を師団アセットのコンセプトの中に統合される要素として捉えられていること、2つ目は地上部隊による防空は防空システムを構成する様々な設備や装備、電子戦機材によってなされるというものである。美國の陸上戦闘ドクトリンでは防空を3段階に分けて定義しているが、軍団防空システムのコンセプトは第3段階の「機動部隊の空域に侵入してきた敵ヘリコプターや航空機を撃墜する」という役割によって定義される。戦術防空部隊の目的は敵の有力な航空攻撃を予防または防御することにあり、この任務を遂行するために全ての敵性航空機を攻撃しなければいけないということはない。

組織と装備


美國の戦術防空兵器のリストには様々なミサイルウェポンおよび支援設備、電子戦機材が含まれる。これらは上位部隊から下位部隊まであらゆる改定の部隊が運用する兵器である。例えば、歩兵大隊は9基のSA-7を装備した1個防空小隊を指揮下に擁し、戦車中隊は4両のSA-17を装備した防空分隊を麾下にもつ。また、戦車部隊はRWS(遠隔火器ステーション)を備えており、これを利用した中隊対空統制射撃訓練は全ての部隊で行われている。SA-7の射手は常に歩兵大隊の周辺に展開しているわけではなく、周到防御の際は大隊長や連隊防空幕僚などが直接指揮をとることもある。大隊指揮所や指令隊列などの大隊長が指示した目標を守るために防空小隊が配備されることもある。斥候や殿軍などの航空攻撃に対して脆弱かつハイリスクな部隊に対して連隊司令部が防空大隊を分割して派遣することもままある。連隊防空大隊や対空砲大隊がフォースプロパイダとなるケースである。これゆえ、連隊には防空指揮官の他に戦術防空担当幕僚が配属されている。また、2010年頃から実戦配備が開始された新型の防空兵器SA-16は画期的な性能を誇り、軍団は今や、軍団が担当するFEBA全てをカバーできる防空システムを手に入れたと言っても過言ではない。SA-16やSA-17などは小部隊でも扱える小型軽量なミサイルだが、軍団規模の防空には通常防空ミサイル旅団とそのメインウェポンであるSA-30が多用される。1つの軍団には通常4個の防空ミサイル旅団が配備され、前方地域における師団防空を補完している。

任務


軍団司令部はその隷下部隊の防空戦力の指揮において重大な役割を担う。防空兵器は戦況に応じて様々な任務で用いられ、方面軍の防空兵器の増強に充てられることもある。他の防空兵器は軍団全体の防空を行なったり、師団のFEBAの間隙を縫うように用いられることが多い。軍団配備の防空兵器は通常、前進防空網を突破した敵機を攻撃するために、師団防空兵器後方の何処かに配備されている。特にハガル軍が開発した防空システム(美國ではSA-35の名前で制式採用されている)は中高度から高高度の防空能力を持ち合わせており、その交戦エンヴェロープは軍後方から軍第一梯団前縁より70km前方まで広がっている。そして防空階梯は方面軍防空コマンドからSA-30を持つ防空旅団、師団防空連隊、防空大隊。防空小隊と枠組みが小さくなり、重層的かつ有機的な対空火網形成がなされている。また、後方地域ではSA-30が集中運用された特化防空連隊が編成されており、これらの指揮は友軍機への誤射を防ぐため、方面軍司令部で集中的に指揮されている。これらの方面軍全体を通した師団防空戦力によって重厚な地域防空が形成される。強力なフェイズドアレイレーダーを装備したSA-30やSA-35などの対空アセットは、それらの強力なレーダーにより、適量どのかなり内部や作戦域全体にわたる揺るぎない探知エンベローブがもたらされる。機動部隊に対しての縦深爆撃や近接航空支援を行うために、FEBAに接近した敵機はまず邀撃に上がった同盟軍機に、次にSA-35と交戦することになるだろう。美國軍はミサイルの交戦範囲に隙間ができることをかなり警戒し、隙間をなくすために多大な装備と労力をかけている。もし敵機がSA-30を突破し、目標の車列を有視界に捉えたとしても、苛烈な反撃がSA-17やSA-16、さらにはZSU-57対空機関砲によって行われる。美國地上部隊防空兵器によって、ダイナミックな攻勢戦闘における高速で機動中の戦車や自動車化狙撃部隊に対する完全な支援を行うことが出来る。 方面軍や軍における防空部隊は基本的には支援する機動師団や自部隊から少し離れた位置の敵機にたいする地域防空戦闘をおこなう。師団防空連隊は、 師団機動連隊を支援する拠点防衛部隊がかなりいるものの、主に地域戦闘を行う。防空任務は機動連隊の活動の中でも最も複雑なものである。 支援対象部隊がその指示された作戦を遂行するに従って、その位置や戦闘陣形は常に変化する。防空部隊指揮官はこれらの変化に対応して、連隊部隊に対する隙間なく効果的な保護が可能となるように自部隊の兵器を配置転換しなくてはならない。防空部隊の配置は最も激しい航空攻撃が予想される地域の機動部隊に優先して行われる。 例えば、師団第一梯隊の自動車化狙撃連隊は通常、師団防空連隊の一個または複数の防空中隊の支援を受ける。これらの防空中隊は必ずし屯機動連隊の編成及び隊形で作戦を行わなければならないわけではない。

防空偵察


美國の防空における偵察コンセプトには、空域偵察および装備の展開適地や、低空を飛行する飛行機に合った経路を評価することが含まれる。周辺空域の偵察は、敵の航空情報に関する現在のデータを維持するために継続して行われる。地形偵察は通常、支援部隊の指揮官および支援防空部隊の指揮官、連隊防空担当幕僚によって実施される。彼らは、防御地域・行軍経路・自分たちの占領した地域における防空兵器の点火位置を確認するために、事前地図偵察を行う。重要な点は、低空で飛行する敵航空機の想定される攻撃経路の識別である。攻撃ヘリコプターにあった接近経路や、攻撃ヘリコプターがATGMを使用する可能性がある地点には特に注意する。美國の指揮官たちは攻撃ヘリコプターが自軍の戦車や機械化歩兵部隊に対する深刻な脅威であると認識していた。そのため、美國の指揮官は、敵がレーダーを回避するためNOE飛行を行う可能性があるので、木に覆われたり起伏のある地形での監視を円滑に行えるように訓練される。美國は対空監視を行うために、電子的・電子工学的な手段および視覚による監視を用いる。レーダーは全天候能力やELINT能力を提供し、技術的な信号情報蒐集に用いられる。可能ならばいつでも、予備の目標データはより高次のレーダー部隊から防空部隊指揮官及び防空任務部隊に伝達される。これは、高射砲部隊のレーダー及びレーダー
を装備した対空砲・ミサイル発射器の電子的妨害による弱点を軽減化する。理想的には、明らかに敵と認定された目標とのみ攻撃する。美國は、電子妨害・レーダーホーミング兵器についての成果をよく理解している。レーダー要員は、敵機がジャミング機器やレーダーホーミング兵器を使用してくることに備えて、幅広い訓練を受けている。技術的偵察手段の開発は、視覚的偵察の重要性を低
下させるものではない。同盟軍の指揮官は、視覚監視がしばしば敵による航空攻撃、特に NOE 飛行を行う攻撃ヘリコプター等による攻撃の最初の一報を伝えることになる可能性を学んだ。対空監視員は、敵軍の近くで活動しており、また敵の航空攻撃がありそうな場所に所在する全ての部隊に置かれる。視覚による対空監視は原則 360 度で行われ、監視員は担当するする空域を割り当てられる。ソ連によれば、監視員が 60~90度の範囲を担当した場合には2~5キロ、30度の範囲を担当した場合には6~7キロ先の航空機を探知できる。もちろん、地形や視界はこの探知距離に影響を与える。双眼鏡を使えば、探知距離は約12キロに伸びる。より高性能な光学測距装置を使った場合、高高度を飛行する航空機ならば 50 キロ先から探知できるかもしれない。

山岳地帯における防空作戦


山岳地帯で活動する防空部隊には、ユニークな問題がある。それは険しい地形により、機動及び防空部隊の部隊統合を維持することを極めて困難にすることである。これは包括的な対空監視と防空射撃支援の維持をより困難にし、結果通常よりも分散化する。こうした困難は、防空任務部隊・小隊・そして班でさえも、射撃管制及び作戦に影響が及ぶ。SA-7 の重要性は、山岳部での作戦で大いに増加する。山の多い地形の制限的な自然とそのような地域の典型的に限られた道路網のために、機動部隊はしばしばいくつかの広く分散された隊列に分かれなければならない。防空兵器は各隊列の前方に配置される。レーダー装
置とZSU-23-4 は、もし存在すれば、通常最大限のレーダー覆域・監視・射撃場所を得るために、前進する経路上の高地から高地へと移動する。SA-7 地対空ミサイル分隊は、恐らく通常よりも大きな攻撃の自由があるだろ
う。時には、攻撃する権限が班長にさえ委任される。より素晴らしい運用法はZSU-23-4・SA-7 地対空ミサイル・自動車化狙撃部隊によって構成される防空要撃だ。師団の防空連隊の部隊は1またはそれ以上の師団の隊列を直接支援するだろう。機動性が高い、師団防空連隊のSA-6 もしくは SA-8 地対空ミサイルの使用は、山岳地帯における戦闘を支援する能力を大きく増加させる。

空域統制


美國軍は多数の防空システムを有している。美國軍指揮官は、様々なシステムの間での空域の配分に関心を持っている。これを達成するために、彼らは守られるべき空域の地理的・高度・時間配分の組み合わせを使用する。空域の地理的要件による分割警戒区域は、SA-35地対空ミサイルの最大射程を超えて、戦闘地域の最前線と十分に並行且つより前方に設立される境界を含む。正面航空戦力は敵航空機とこの境界より前方で交戦し、地上配備の防空システムはこの境界より後方で交戦する。また、恐らく接触線を越えてソ連の航空機を安全に通過させるための、地上配備の防空システムにより形成された「航空回廊」もある。こうした回廊は、地対空ミサイル部隊が直接攻撃されない限り、地対空ミサイル部隊が敵航空機と交戦する期間と共に使用できるだろう。また、全ての航空機が射撃を受けるか、あるいは1機も射撃を受けていない間も、恐らく期間は確立されるだろう。

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